ノンフィクション作家の佐野眞一が書く、ノンフィクション入門(?)。
手に取ったときは特にサブタイトルまで見ておらず、「ノンフィクションを書くに当たっての入門書」とは思っておらず、後ろ表紙の、
脳みそに汗かいて考えろ!
世の中の動きと人びとの生態を一つ余さず凝視し、
問題意識を身につける技術とは?
必読書”百冊”を厳選した最強のブックガイド付き
というところに惹かれて買った。
著者のこともノンフィクション作家だとは全然知らず(この本の中で出てきていた著書については、名前とか存在ぐらいは知っていたけど)、タイトル通り、「実際に目と耳と足を使って何かを得て、判断するための心得」が書いてあるのかと思っていた。
内容的には、技術について何か論じている入門書と言うよりは、著者が「自分はこうしてきた!」ということを熱く語っている感じの本。過去のエピソードを語ることがほとんどで、その部分についてはとても興味深く読んでいて楽しい。でも、ノウハウとか技術的なものについては何か特別なものがあるわけではなく、よく言えば「やっぱりよく言われることを地道に続けなさい」ということになるし、悪く言えば「ありきたりなところでお茶を濁す」という感じ。
なかなか刺激を受けたところと言うと、他書の紹介や引用などで「あ、ちょっと読んでみたいな」というのは結構あったし、いろんなエピソードなどで興味をそそるものがあったりして、今度調べてみようというメモがいくつかできた。
特に面白かった一つは「業界紙」。いろんな業界紙があるのは何となく知っていたが、これほど細かいものがあるとまでは知らなかった。ちょっとこういう世界も垣間見てみたい。
そしてもう一つが浄水場の人の水をかぎ分ける話。これはすげー!っていう素直な感想。
巻末にも推薦図書がリストアップされているのだけど、著者がどういう観点で選んでいるのかが知りたかった。今時インターネットを調べればいろんな人の書評があるのだけど、著者なりの見方で選んだものなのだろうから、それが知りたかった。
ということで、「技術」について論じる本としてではなく、著者のエッセイ集とか、本を紹介する本という感じでまとめていればよかったのになぁ、という感じ。
今度、他の著書も読んでみようと思う。
(2009/2/19 11:15-2009/2/19 22:00)